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生きようとする意志

3月15日
製本した論文が60冊届いた。わーすごい量。中を見ると二ヶ所間違い発見。中表紙が入っていないのとカラーページが1ページだけ白黒になっている。時間がないのでどうしようかとコピー屋さんに聞いたら直すのにそれほど時間がかからないようなので全部持ち帰ってもらった。
打ち合わせやら雑用やら学会関係の連絡メールやらやっているうちに夕方。最終バス満席のためひとつ前に乗る。急に睡魔に襲われ横になって寝る。気がついたら横川。頭がすっきりしたので読書。保坂和志『世界を肯定する哲学』ちくま新書2001。半年くらい前に誰から聞いたのか忘れたがこの人の本をたくさん読んだ。これもそのとき買って放っておいたのだが今日鞄の中につっこんで出てきた。人間は言葉によって考えが制御されているので言葉になる前の「考え」をどうしたら掬い取ることができるかということを懇切丁寧に説明している。そう聞くと普通なのだがその説明はいろいろと「なるほど」と感ずるところが多い。たとえばリアリティのくだりはこうである。
リアリティとは何らかの事態に直面したときに「私」の中で起こっている、言語による処理能力を超えた事態という。つまりこれもこの本の大きな趣旨につながるけれど、言葉で言い表せるような事態というのは言葉という抽象性に絡めとられ「私」にとっての実感とならないということである。そこで彼にとって生きていくことの充実感とはこのリアリティの蓄積であるということになる。そしてそうした蓄積への人間の本能を「生きようとする意志」と呼ぶ。
これを一言で人間は好奇心の塊だからなあなどと言ってしまうともともこもない。この生きようとする意志のようなところをうろうろすることが大事なのだろう。少し時間をかけないとこういうことは腑に落ちないのだが。

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