宴三さんの絵画
夕刻、日本橋高島屋の美術画廊に山田宴三(やまだえんぞう)さんの絵を見に行った。宴三さんはもともと日本画出身の方なのだが、岩絵の具とアクリル(あるものは墨)とアクリルのメディウムを和紙の上に垂らしたり、広げたりしながら(ちょっとサムフランシスのように)面を構成し、重ね塗りしながらある箇所その乾ききらぬ皮膜をめくり下の層をむき出しにするのである。それによって2次元のキャンバスに奥行性を出そうとしている。
それほど大きな絵ではないが、少ない画材でとても多様な世界が出来ていると感じた。一種類の青いアクリルで10色分くらいの色が出ているのには驚いた。墨も水墨画が作り上げる多様性よりもっと奥行きを感じる。
少ない手数で多様な表現というのは建築に通ずるとても大事な手法だなと感じた。