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景観論

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原稿を書くために景観の概説書をいろいろ目を通し始めた。そのうち一冊は景観法それ自体である。つまり法令の解説書。今まで地方の条例レベルだった景観が一昨年法律となった。しかしちょっと変わった法律でこの法律を適用するかどうかは自治体の判断に任されている。そして建物の良し悪しは定量的な許認可ではなく、質的判断をプロがやる(確認さえおろせない行政の人手不足の現況でこんなことできるのか?)。また歴史的建造物の保存とか、重要樹木の指定とか景観地区を定め形態規制までかけられるそうだ。
そんなわけで長野の景観条例は変わったのか(その昔長野で仕事した時は景観条例の事前協議もした)ホームページを見てみたl。しかしあまり変わってはいなかった。保存建築の指定がされていたことくらいか?この法律ができてもドラスティックに何が変わるわけでもなさそうだ。
景観は確かに単体の話ではないから行政に期待するところは大である。大いにやって欲しい。しかしやるならかなり大胆にやらないと効果はない。私の経験で、「ああこれは効いたな」と思ったのは台場の仕事をした時。現在のデックス東京ビーチのコンペの時都は地区計画をかけて建物の形態規制をした。海際の建物高さをぐんと落としたのである。この時は規制をかけられたにもかかわらず納得がいったし、できたものも規制がかかってよかったなと思った。残念ながら、他には行政の効果的な処置を感じたもの(条例でも指導でも地区計画でも)はない。
なぜないか?もちろんちょこちょこと規制があることは知っているが、そんな規制は屁みたいなものである。あったって無くたってアーバンデザインには関係ない。そんなことをするくらいなら、駄目な建築家に仕事をさせないほうがはるかに効果的だ。要は個別のデザインの力にかかっているのである(台場の形態規制はデザインの問題ではない、地区計画などで規制しないとできないことである)。そう思うと法的な景観の議論にはどうも力がはいらない。ただし大掛かりな方策は何度も言うがやればよい。そしてその場合は単なるデザインだけでなく、様々な経済的なバランスと支援も含めてやればよい。そのときはもはや建築家の出る幕ではない。

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