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ヴェントゥーリの『美術批評史』

ヴェントゥーリの『美術批評史』をぺらぺらと新幹線の中で読んでみた。この本なかなか手に入らないものだと思う。かなり前古本屋で発見して買って我が家で積読状態だった。ふとゼルゲルの様式論に通ずる何かがありそうで読んでみたくなった。さわりだけだけどちょっと難しい。
序文にこう言うくだりがある。「もし私がドラクロワは芸術家であるということを直感するならば、私は彼の絵画の長所や短所を探るべきではない。ドラクロワの絵には長所もまた短所もない。そこにはドラクロワの様式以外の何物もないのである」つまり、ヴェントゥーリにとって批評史とは個々の芸術家に対する良し悪しの判断史ではなく、ある時代のある個人あるいはその時代に共有された様式の存立基盤を明確にすることのようである。ヴェントゥーリは(おっとこのヴェントゥーリはラスベガスのヴェントゥーリではありませんよ。スペルは同じですが)ギリシャから現代までこの様式の存立基盤を入念に提示した最初の人なのである。でもこれは美術史と何が根本的に違うのだろうか。ゼルゲルの概念を借りて推測するなら、これは様式論だということなのだろうか??

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