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様式論

ヘルマン・ゼルゲルとうい人の書いた『建築美学』なる本がある。ここでは建築の意匠的な記述には三つの方法があると説く。一つは歴史。これは言うまでも無く事実学。二つ目は美学。これは法則を発見する学。そして三つ目はこの両者の知識を下に行われる様式論。これは史実を法則的に解釈するというもの。この分類でいけば僕の興味は様式論である。それも現在論であろう。それは現在という事実の源泉を過去に見つけ、将来への流れ(法則)を見極めることにある。それは文章という形をとることもあるが、設計という作業も結局は様式論である。設計とは現在の様式への邂逅を彼岸とする行為なのである。
事務所で設計打ち合わせ。1時から始めた打ち合わせが気付くと5時。あっち行ったりこっち行ったりしながら、この流れを探している。くだらないエピソードなど話しながら、考えている。スタッフは「ああ早く終わらないかなあ」と思っているかもしれないが、頭なの中では様々な事実関係を結んだり離したりしながら、この流れの正当性を見極めているのである。結局今日の時点ではまだまだいろいろ積み残しである(そんことは当たり前だが)。
こうしてある結論は工事されるときまでには出さざるを得ないし、出した仮設はそれが竣工したときにはその妥当性を試されることになるのである。

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