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2009年04月 アーカイブ

2009年04月15日

第一回講義お題

第一回目の講義は「性格」である。建築が性格をもつというのは擬人的な言い方だが、要は建築が表出する意味である。講義では「用途」「雰囲気」あるいはゲーテのように建築にくっついている彫刻の、彫刻家の熱意というのもあった。さてここで質問。君たちが今までの建築体験において最も強くその建物の性格を感じとった例をあげ、どのような現象、素材、形がそのような感情を生み出したかを説明せよ。文章は簡潔にして、明瞭、概ね4段落(起承転結)を心して400から800字以内で記せ。尚今回は田中君が評者となり、最優秀賞と優秀賞を(佳作数点があってもよし)選び、評を記すこと。金曜日夜12時を締め切りとする。

2009年04月20日

第二講お題

本日のテーマはコンテクスト。contextとはcon(一緒に)+text(織った)という意味がある。一個の建築をつくるにもそれは周囲と一緒に織られたものと考えることが可能で、そうした立場をcontextualismというわけである。カントが言うように人間は物を認識する時に空間時間というアプリオリな認識場においてものの量と質と関係と様相を本能的に理解しようとする。建築を見た時も我々の本能はその建物と周囲との関係を見ようとするのである。つまり周囲と一緒に織られたものとして対象建築物を認識しようとするのである。だからその関係性が読みとれないものに対して我々はある種の不快感をあるいは不満足感を感じるものである。たとえばエッフェル塔ができた時にパリ市民はこの塔がパリという街とどういう関係性にあるのかを感じ取ることができず、一応に不満を抱いたわけである。しかしそのエッフェル塔が現在は市民に愛されるものとなっている。これはどういうわけだろうか?関係性の謎である。いったいできた時に関係性が読みとれないものが時間の経過の中で関係性を構築できると言うのはなぜだろうか?現在が過去とrextを紡ぎあげる原理について一考して欲しい。今日の授業で出てきた「現在は過去を変化させる」というTSエリオットの言葉がヒントかもしれない。

2009年04月27日

第三講お題

今日の講義のテーマはdesignである。そしてこの言葉は両義的な意味を持ってきた。一つは概念あるいはその概念の形象化としての図面。そしてもう一つはその概念(設計図)をもとに作られた建築それ自体である。この概念と物の対概念は様々なものの考え方と関連する。たとえばアリストテレスの形相と質料などである。
建築の歴史はこの石工や大工が身体感覚で作り上げるということに始まり、近世になりやっと芸術という分類に格上げされ、それとともに概念化(科学化)されることで学問としての地位を得た。つまり身体で作るという行為よりもむしろ概念化する(設計図を作る)ことに重きが置かれた。そしてその流れが今でも続いている。図面を書いてから模型を作る構想してから形にするというプロセスをたどることが普通となった。しかし、昨今では模型を作ってからそれを図面化する、つまり形を作ってからそれを概念化する(設計図化)という逆のベクトルをたどる場合も少なくない。
さてここで質問だが、物事は構想を練ってから行動に移すというのが普通であるが、行動してからそれを事後的に振り返って概念化するということもないではない(上述建築のように。しかし厳密に言えば、建築自体を図面なしに建ててそれを図面化するということなのだろうが)しかしはたしてそういう態度は世の中において意味ある行為なのだろうか?そしてそれは何を生み出すのだろうか?そしてあなたはそこに意義を見いだせるだろうか?対象は建築には限定しない。文芸でも音楽でも何でも構わない。適当な対象を掲げて論じてほしい。

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