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建築家白井晟一展

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白井晟一の展覧会が汐留ミュージアムで開かれている。
昨年虚白庵が解体前に公開されて見に行きその濃密な空間に圧倒された。もちろんそれが白井建築との最初の出会いではない。学生時代長崎の親和銀行本店に同級生とレンタカーを借りて大阪からでかけた。目指したのは白井ではなく磯崎だったが。その時見学ルートでもらったパンフレットには確か「高貴なる贅沢」と書かれており大いに感激した(展覧会では「高貴なる欲求」ということになっていたが)。人間の欲望、贅を俗なものではないレベルで扱っていることに感じ入った。その後石水館、ノアビル、松濤美術館、善照寺と見ることとなる。しかしそれらの印象をはるかに凌駕したのは虚白庵である。
虚白庵の天井伏図の原図1/50が展示されていた。美しい図面である。書き込みの字が3ミリでレタリングのようである。図面テクニックの問題はさておき。虚白庵を実際に見て僕が最も衝撃的だったのはまさに天井だった。照明の配置である。ただでさえ暗い白井建築において天井照明はまた極端に少ない。そしてその少ないダウンライトやブラケットが不均等に、ある部分に固めて偏って配置されていたのである。それはまるで庭の植栽の配置の如し。白井の平面計画は概ねそれほど複雑ではない。左右対称であり幾何学的なものが多い。しかい虚白庵はさまざまに謎が散りばめられている。自邸だからということもあるのかもしれないが、だからこそここに白井本来のものが現れているように感じる。

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