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VOCA

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上野の森美術館でVOCA2010展をやっている。VOCAはVISION OF CONTEMPORARY ARTの略である。1994年から行われており40歳以下の平面の作家を対象に35名の推薦委員が選んだ作家35名が出品する。推薦委員は全国のキュレーター、ジャーナリスト、研究者等。松井みどりや山下裕二の名前も見られる。そして集められた35作品を今度は審査委員が審査し、5名に賞を与える。審査委員の顔ぶれは、高階秀爾、酒井忠康、建畠哲、本江邦夫、荒木夏実、光田由里、南嶌 宏である。今までこんな展覧会は知らなかったが、この美術館の小ささは好きだし、平面にこだわり、35名の推薦者が勝手に選ぶというコンセプトレスなやり方もわざとらしくなくて面白い。審査員の中には昨今のアートが自閉症的で社会との接点が見られないと言う人もいるのだがもはやそれを云々しても仕方がない。いやむしろ一見自閉症的に見える表層の裏に外に出る意志を感じとれるものもある。また本江邦夫氏が現代社会の表面性と作品の表面性を類比的に語っていたが、確かに現代社会は表層に見え隠れする微妙な世界であり、今日の作品もそう簡単に解読できない表層が特徴的であった。当然表面に対して各作家の異常なテクニカルなこだわりがある。そしてその内実は見ただけでは分からない。カタログの解説を読んでやっと理解できるものも多い。写真の表面に刺繍を施し、再度それを写真に撮ってまた刺繍したものとか、写真の上に絵を描くとか。ここに載せたのはVOCA奨励賞を受賞した中谷ミチコさんの作品である。凹型のレリーフのへこんだところに透明のアクリルを流し込み表面を平らに仕上げている。本物を見ないとこの奥行き感は分からない。最も好きな作品であった。

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