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ピカソ展

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画家とモデル 172×256 1926

六本木の国立新美術館とサントリー美術館の両方でピカソ展をやっている。サントリーと国立新美術館と朝日新聞が共同主催している。ピカソの作品がこれだけ一辺に見られるということはそうざらにはないだろう。
先ずは国立新美術館「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」と銘打って170点並んでいる。そしてサントリー美術館には「巨匠ピカソ魂のポートレート」というタイトルで60点の展示。ピカソが年表のように並んでいる。初めてクロノロジカルに勉強させてもらった。卒論で出会った「アヴィニヨンの女」とその後momaで見たその「本物」と就職前旅行のスペインで見た「ゲルニカ」とこの間読んだコラージュの本にしこたま登場した「パピヨコレ」と美術史の本に登場する「キュビズム」と家族で行ったパリの「ピカソ美術館」とその他美術の本に常に「断片的に登場するピカソ」がやっと今日一つのレールの上に並んだような気分になった。まあそれほど大げさなことでもないのだが、生涯何万点も作品を作った天才ピカソに我々は(僕は)極めて断片的に接している。「キュビスムの時間概念がコルビュジエの建築に影響を与え、その震源地はピカソである」なんて思いながら、学部の頃毎日寝ても覚めてもピカソの絵を眺めていた、そのピカソとスペイン内戦で「芸術は政治だ」と戦ったピカソが一人の人間の中にうまくあてはまらなかった。まあ今日の展覧会を見たからそれがしっくりとあてはまるかと言えばそうでもないのだが、一本の線上に並べられればまあ仕方ない。
正直言えば本当にすごいやつはここにはない。その意味では大感動を呼ぶような展覧会ではないかもしれない。けれども上記の如く。断片的なピカソの膨大なエネルギーの痕跡を辿るには面白い展覧会だと思う。
因みに僕の好きだった作品は上掲「画家とモデル」配色と伸びやかな線が素敵である。

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