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エミリー

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昔オーストラリアにクライアントと建物を見に行った。そこで一番印象的だったのは、シドニーオペラハウスだったが、その次はカンガルーでも、コアラでもなく、アボリジニアートだった。色使いと自然の抽象化に独特なものを感じた。
現在国立新美術館でエミリー・カーメ・ウングワレーという名のアボリジニーアーティストの展覧会が行なわれている。やはり色使いは独特である。美しいのである。こうした民族アートはその歴史的背景や手法の影響関係やらその思想的位置づけなど、一般の西欧芸術などを見るときに頭に浮かんでしまうようなことを一切思い出す必要がない。素直に無心でああきれいだなあと思える。布を大地に広げてどちらが上ということもなく布の四方から書き進めていくのだそうだ。だから展覧会場でどちら側を上にするという指定がなく、学芸員が決めるとのこと。
さて影響関係はないと言ったものの。よくよく見ていると、抽象的な点描の書き方は草間 彌生のようだし、ランダムな線描はポロックのようでもある。また最晩年のべた塗りはデ・クーニングを思い出させる。時期的にはエミリーの制作の方が遅いので、もし影響があるとするなら、エミリーが彼等から受けたということになるが、まあそれは考えにくい。むしろ彼等の手法がある普遍性を帯びており、世界同時的に起こりうるようなものなのかもしれない。

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