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ヤンキー

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ヤンキーという言葉は日本の不良まがいをかわいらしく表現する言葉でそれは大阪のアメリカ村が発祥だと聞く。語源由来辞典にはこう書かれている

「日本で不良っぽい若者を「ヤンキー」と呼ぶようになったのは、大阪の難波の「アメリカ村」と呼ばれる地域からである。
1970年代から80年代にかけ、アメリカ村で買った派手なアロハシャツや、太いズボンを履いて、繁華街をウロウロする若者を「ヤンキー」と呼ぶようになった。
やがて、不良少年全般を「ヤンキー」と呼ぶようになり、西日本を中心に全国へ広がった。
しかし、単にアメリカ風ファッションから「ヤンキー」と呼ぶようになったのではなく、彼等が語尾に「~やんけ」を連発していたことから、「やんけ」が変化し「ヤンキー」になったといわれる」

なるほど。しかしもともとはアメリカの南北戦争で南軍が北軍を軽蔑して使用した言葉であり、それがその後アメリカ人全体を指す言葉として使用された。と辞典には続きがある。

しかし実はもう少し特定の意味もあるようだ。10年くらい前。私は出張で2月に一度くらいボストンに出張していた。BTA(Benjamin Thompson Assocates)と共同で、とある建物を設計していたからだ。そのころのボストン通いでBostonはアメリカのお高くとまった連中の集結地であることを知った。アイビーリーグと言ったって、一番格上はハーバード(ボストンにある)でありプリンストンやペンシルヴェニアは2流であるといのがそうした連中の意見だそうだ。もちろんそう言うことを言うのはハーバード出身なのだが。そう言えば日建設計の留学先ベストワンはハーバードだったが行った連中はこう言うことを当然調べてから行っていたのかもしれない。
ところでこう言うスノッブボストニアンは使う言葉も違うということを聞いたことがある。アメリカの標準語は西海岸の言葉と言われるが、もちろんこうしたスノビッシュボストニアンにとっては彼ら西の言葉は田舎の言葉なのである。
さて話は長くなったがそうしたボストニアンのことを調べた本に最近巡り合った。渡辺靖『アフターアメリカ』慶応義塾大学出版会, 2004である。著者はハーバード留学中に博士論文としてこのボストニアンについて調査し戦後アメリカボストニアンのこうした上層部(それらは主としてWASPと呼ばれるプロテスタントのアングロサクソン白人で構成される)と下層部(主としてカソリックのアイリッシュアメリカンで構成される)の構成とその構成が文化をどのように形成しているかを綿密に調査したのである。
それによるとこうしたスノビッシュ・ボストニアンをブラーミンと呼ぶのだそうだ。そしてこのブラーミンとほぼ同義的に、すなわちニューイングランド特にボストン周辺のWASPを中心とした富裕層をヤンキーと呼ぶのだそうだ。
日本では不良が原義はアメリカ富裕層。なんとこの言葉のニュアンスのずれ。日本語英語がひどく歪曲された形で使われる例はヤマのようにあるがこんな正反対の意味となってしまうのも珍しい。
しかしニューヨーク・ヤンキースが富裕層だけの野球チームという気はしないのだが、あれはどんなニュアンスなのだろうか?

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