大竹伸朗
東現美の大竹伸朗展を見た。体育会系アーティストの典型大竹には驚異的なエネルギーと尽きることの無い好奇心が漲る。なんて書くと何処にでもいそうなアーティストだが、多分何処にでもいそうなアーティストなのである。この展覧会。「大竹伸朗 全景」と命名されており、彼の小学生の時のお絵かき作品から、今までが展示されている。その量は気が狂わんばかりであり、まじめに見ていると大変なことになる。特にロンドン留学中のスクラップブックが異常である。延べ1万ページを超える量。それも一ページに所狭しとマッチケースからコースターからフライヤーから街で手に入れたものは全て張り込まれ、余白に色や字が書き込まれている。何冊あったろうか、数十冊はあっただろう。
彼はこのスクラップをまだ売れぬ頃にリブロポートに勤めていた永江朗のところに持って行っては得意げに見せていたようである。
この展覧会を期にいろいろな雑誌に大竹特集が組まれている。どれか忘れたが永江との対談で大竹は自分はニューペインティングでくくられてもう終ったようなものとレッテルが貼られていると自嘲気味に語っていた。しかし終ったと笑いながら、尽きぬことの制作欲には脱帽である。終ったというのはそのあとのムラカミやナラに抜かれたということを指しているのかもしれない。確かに一時的に見ればそんな風にも見える。しかし彼らも後5年もすれば誰かに抜かれる。そして問題なのはその後10年して残れるかどうかだろうと思う。
そんなことを言っていたのは東京画廊の山本社長である。果たして10年後に誰が残っているか楽しみである。