プライスコレクション
やっと来たか日本ブーム。ついに国立博物館の日本美術の展覧会がブルータスの表紙になる時代となった。日本美術応援団の努力が実ったか?
しかしこの間のバーンズコレクションといい、今回のプライスコレクションといい、日本美術は逆輸入されている。
今回の展覧会を見に行くとちょっと驚く見せ方がある。美術品に当てる照明が時間で変化している部屋があるのだ。「なんだか変わった試みだなあ」くらいに思って後でカタログを見ていたら、プライスコレクションを展示しているプライス邸ではそうした自然光を調光する部屋があるようだ。そのプライス邸の設計者バート・プリンスはブルース・ゴフの弟子でゴフはライトの弟子である。そう言えばプライスってあのライトの設計したプライスタワーと関係あるの?そうプライスタワーは父親の所有するビルなのだそうだ。
しかしバーンズの時は大したコレクションじゃないと馬鹿にしていたが、今回は驚き。すごい質と量である。目玉は人気者若冲だけど若冲以外にも江戸の鈴木基一(きいつ)群鶴図屏風とか山口素絢(そけん)夏冬白鷺図屏風などは必見である。
ところで私の解説者は若冲の鶴を見ながらぼそりと言う
師:「若冲は筆使いを過信しているのよね」
私:「確かにうまい」
師:「一筆で輪郭とれちゃうのよね」
私:「うーん確かに、この鶴」
師:「でもそれで一発で行っちゃうから漫画になるのよね」
私:「でもそれを狙っているんだからいいんじゃないの?」
師:「漫画はまあいいとして、」
私:「そうね確かにこの鶴の首の辺りは無理に一筆で行くから線が死んじゃってるね、さすがにこれは意図的とは言いがたい」
これから先は想像だけど、若冲はいろいろ発明した人のような気がする。グラフィックデザインのセンスがあって、一筆書きしたり、画面トリミングしたり、デフォルメしたり、升目を使ったり、と1700年代には想像できないような技を発明したように思う。この間上海で水墨画見たときに、この分野は流石中国で日本の先生なのだが、若冲はオリジナルを作り上げたという気がするのだが。