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病(やまい)的建築

モス写真.jpg
この建物はモスのthe boxという1994年の作品である。場所はカルバーシティである。まあロサンゼルスと言っていい(ロサンゼルス市ではないが)。このあたりは工場や倉庫が沢山建っていて、ただでさえ人気の無いロサンゼルスの中でも更に人気が無い。夜来たらかなり怖いところである。
このボックスという建物はモスの暴力的な建築の作り方を象徴している。建物に穴を開けて何かを突っ込むという手法である。よく男性性を建築の中に見出すという議論があるが、そうした場合に出てくるのはどうもリテラルな男根崇拝のようなもので味も素っ気も無い。むしろモスのような作り方に無意識の男性性があるような気がするが。
まあそれは置いておいて前回の話の続きをすれば、ヴィドラーはこうしたモスの建築の流動性と内部外部の相互貫入がギーディオンのコルビュジェ分析をもとにモダニズムで完成されたバロックと捉えつつも、さすがにそれだけでは語りえず、最後にメランコリーへと繋げるのである。最近メランコリックな僕としては(去年からであるが)なんだか都市の病理はとても分かるしそれを癒すのはこうした病(やまい)的な建築だろうなあと感じている。しかしこんなのばっかりでも困るのだが。

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