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景観規制

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最初の地図は東京都のホームページに載っているもの。都の景観重要誘導地区を表しており、それは国会、迎賓館、絵画館である。
この話知ってる?去年の11月の新聞に出ていたと思うのだが絵画館の後方新宿区大京町に建つ予定だったマンションの建て替えに都が待ったをかけた。重要な建物の後ろにそのシルエットを乱すような建物が立ち上がるのは好ましくないとのこと。都の景観審議会の議論の一つにそうした重要な建物の選定がある。そしてその中でも三つの建物、国会、迎賓館、絵画館の後方建物高さに規制を与える条例が4月から施行されたようである。
ということでその3つの建物を駆け足で見てきた。すでに後方には建物がある。国会はもはや手遅れである。写真の通り赤坂に建っている保険会社のビルは中央の塔部に対抗した形状で、シルエットはかなり乱れてしまう。特に国会は建物前方の並木が少ないので不利である。国会に比べ他の二つは建物前方の並木が大きく長い。そのおかげで迎賓館後方六本木ヒルズ、絵画館後方慶応病院、どちらもうまく並木に消されている。
さて、3つの建物を見ながらこれらは何故選ばれたのだろうかと想像した。もちろんどれも大事な建物ではあるが、特にこの3つでなければいけない理由も無い?浅草寺?後楽園?重要文化財だって他にもたくさんある。
そう考えながら3つの共通点を考えてみた。すると、これらはシンメトリで前方にしっかり(まあ国会はしっかりでもないが)軸線と並木があって、vista pointが存在する。パースペクティブに見る場所が整っている建物なのだ。これはオーギュスタン・ベルクが指摘するまでもなく、近代西洋的風景の始まりである。そういう視点が輸入された記念すべき3つの場所なのであろう。確かに就学旅行生が記念写真撮るためにもせっかくのシルエットを乱してはいけない。だからこうした条例はそれなりに大事だとは思う。しかし僕がもっと興味深く思ったのは、国会から180度目線を回転させ、東京駅のほうを見たときの眺めだった。こちらは今や丸ビルを初め超高層ラッシュなのだが、そのスカイラインはとても連続的に山並みのように連なっているのである。「ああ、きれいだなあ」と素直に思った。連続的な形はそれなりにきれい。何故だろう?それはフラクタルと関係しそうな気がした。つまり自己相似性。人工物は自然物と異なり微小部分は必然的に連続形になる。それゆえ自己相似的に拡大したものはやはり連続的になるのでは?乱れた棒グラフのような形(スカイライン)はフラクタル(自己相似的)にはならないのではなかろうか?フラクタルだからきれいというのは短絡だが、フラクタルな方が、自然的とは言えるかも知れない。
話を景観規制に戻すと、近代初期の建物に対し近代透視図的視線の担保も必要だが、アフターモダンの建物に対する、21世紀の景観規制は何をどういう基準で考えたらよいのかというのもこれから考えなければいけないことだと思う。

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