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A0の次の教科書を探す

私の事務所ではA0なる建築勉強会をしている。その勉強会で『言葉と建築』を訳したのだが、別に僕達は翻訳集団ではなく、ただの勉強集団である。やっと本も出て、年度末の忙しいことも過ぎ、4月からみなの進路(つまり就職とか、転職とか、進学とか)が決まり、次は何読もうかと考え中であり希望を集めたところ下記のような本が集まった。ブルータスよのお勧めする本よりか少し面倒くさい本が集まったがどうだろうか?この中の本を読んだことがある人はご意見ください。

●Robin Evans Translations from Drawing to Building and Other Essays (AA Documents S.)292 pages
http://www.amazon.com/gp/product/187089068X/qid=1146289147/sr=1-2/ref=sr_1_2/103-1682814-0359024?s=books&v=glance&n=283155
ushi 建築の革新に対する社会の役割など,AAスクールの本でムスタファヴィ(AAの元学長)の序論がついている。おもしろそうなのだがまだ内容が計りきれない。

●Joan Ockman Architecture Culture : 1943-1968464 pages
http://www.amazon.com/gp/product/0847815226/
井上 戦後~68年までの建築批評、マニフェストなどのアンソロジー
uahi 68年までというのが少し寂しい68年以降はヘイズにバトンタッチ

●Michael Hays Architecture Theory since 1968824 pages
http://www.amazon.com/gp/product/0262581884/
井上 68年以降の建築批評、マニフェストなどのアンソロジー。
ushi 読破できたら嬉しいがなにせ824ページ

●Neil Leach ed. Rethinking Architecture; Reader in Cultural Theory
409 pages
http://www.amazon.com/gp/product/0415128269/
井上 20世紀の建築批評のアンソロジー。現代思想系が多そう。
ushi ハイデッガー、ルフェーヴェル、デリダ、ボードリヤールとビッグネームが総勢10名以上。古典。

Theorizing a New Agenda for Architecture : An Anthology of Architectural Theory 1965 – 1995384 pages
http://www.amazon.com/gp/product/156898054X/
井上 同じく65~95年のアンソロジー。
ushi 筆者はチュミとアイゼンマンが4本ずつ書いているが、私はこの二人はそんなに興味ない

●Oppositions Reader
701 pages
http://www.amazon.com/gp/product/1568981538/
井上 『Oppositions』という建築理論誌に載った論文のアンソロジー。
ushi IAUSの論文雑誌のアンソロジー。内容はちょっと古い気もするが。

●Massimo Cacciari, Architecture and Nihilism : On the Philosophy of Modern Architecture http://www.amazon.com/gp/product/0300063040/
Ushi 内容はかなりロース。ロースの現代価値はあるか?というところか

●Joseph Rykwert, The Dancing Column: On Order in Architecture
624 pages
http://www.amazon.com/gp/product/0262681013/
ushi 身体論的な話もあるのなら面白そう 600ページ強というのは一つのテーマだと飽きそうだが。

●Jonathan Hughes  Non-Plan: Essays on Freedom, Participation and Change in Modern Architecture and Urbanism243page
http://www.amazon.com/gp/product/0750640839/qid=1146280185/sr=1-2/ref=sr_1_2/103-1682814-0359024?s=books&v=glance&n=283155
ushi シチュアショニストの建築への影響

●Vidler, Anthony Warped Space: Art, Architecture and Anxiety in Modern Culture 316 pages
http://www.amazon.co.uk/exec/obidos/ASIN/0262720418/qid=1146281096/sr=1-2/ref=sr_1_2_2/202-6294551-4520653
ushi ヴィドラーの最新本

●Colomina, Beatriz Sexuality and Space 288 pages
http://www.amazon.co.uk/exec/obidos/ASIN/1878271083/ref=pd_sim_b_dp_1/202-6294551-4520653
ushi フィルム、写真、その他のメディアなどその他の分野と建築との関係。アマゾンではこの本と『言葉と建築』を一緒に買うことを勧めている。その理由はメディア?

●Liane Lefaivre Emergence of Modern Architecture: A Documentary History, from 1000 to 1800 416 pages
http://www.amazon.com/gp/product/0415260248/qid=1146282348/sr=1-7/ref=sr_1_7/103-1682814-0359024?s=books&v=glance&n=283155
ushiかなり本格的に建築史の本のようだ

さーてこの中でみんなで読んで楽しそうなものは私の主観で選べば
1位は ニールリーチ編のアンソロジーRethinking Architecture; Reader in Cultural Theory 409 pages 
量はたっぷりあるし、内容もかなり濃そうだが目次を見ると10ページくらいの論考が延々と35本くらいあるまその中から面白そうなのを10個選んで一回一本づつ読んで一年。著者は哲学者が多いが彼等の語る建築は幼稚で表層的なことも多いのでやや心配ではあるが。ただこれは売れるかもしれない。ちょっと哲学をかじりたい物知り顔のアカデミック系建築家とかコンセプチュアルになりたい学生には向いているかもしれない。

2位はコロミーナのSexuality and Space 288 pages
200ページ代だとほっとする。でもコロミーナですから内容はしっかりしてそう。メディアと建築なら彼の右に出るものはいないだろうし、読んでみたい。ただアマゾンで目次が見れないので内容がつかめない。

3位は ルフェーヴルのEmergence of Modern Architecture: A Documentary History, from 1000 to 1800
これは売れる本のような気がする。モダニズムの出現を千年前に見るというのが新しいのとかなり綿密に事典のように人を追っかけていそうなので『言葉と建築』のように美術史的価値がありそうだ。やはり1位と同様にアカデミック系建築家が飛びつく。

というようなところです。さあA0の人もそうじゃない人も意見いただけると嬉しいのですが。

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コメント

ルフェーヴル,1000年から1800年というパースペクティヴは面白いですが,つまみぐいの連続で食い足りなくなるかも,という懸念があります.本気で翻訳しようと思ったら,補足の調査が相当大きくなりそうですね.
LeachのRethinking...は予め論考のマッピングをしてあるのですが,この手の本があるのが英語圏の強みだなあ,と思います.その強みをかすめ取る(笑)のは,アリかも知れません.同じ意味で,Theorizing a New Agenda...もよいと思います(先生のご関心がなければ仕方ないですけど).
ただ,世界的な見地で現代の問題点がどこにあるのかを探る点では,コロミーナやヴィドラーが面白そうで,訳すならできるだけ急いで訳した方がいい本でしょう.とくに現代の「不安」の蔓延を見るとヴィドラーに関心があります.リクワートは面白そうですが,訳して売れる本か判らないです.

井上君コメントありがとう。ヴィドラーとコロミーナとrethinking architectureを注文したので次回までには持っていけそうです。ルフェーヴル本についてですが、ギリシャ(古典主義)はモダンと結びつきやすいのですが(新古典がモダンに結びついたように)中世が一体どうモダンに結びつくのかは興味があります。でも単純にゴシックリバイバルのようにゴシックが最も理性的な建築だという程度のことならあまり意味ないのですが。
確かに目次を見ると資料集かもしれませんね。100$以上するのでちょっと買うのを控えていますが、、、図版がたくさん出ているなら買いたいのですが、調べる方策がなく、、、、

ところでリーダー本をつくるなら翻訳はしないと思います。一冊に2ページくらい費やし、内容のサマリーとその本の意義を記していくのです。それでそれは意義ありと思いますがいかがでしょうか?それとこれはつまり世界建築エピステーメというもので、僕としてはかなり興味があります。(自分でアマゾンなので本を検索しているうちにその気になってきました)

こんにちは。井上です。

挙げていただいたなかではコロミーナ編のアンソロジーが面白そうですね。所載のローラ・マルヴィーのパンドラの箱の話は、冬に来日した美術史家のグリゼルダ・ポロックが講演でも言及していたので興味があります。
ウィドラーは読んだことがありませんが、これも目次を見るかぎり面白そうですね。
ルフェーブル(&ツォニス)も興味がありますが、上記のものは目次を見ると資料集のようなもののように見えますがどうなんでしょうか。ギリシア建築にモダニズムの淵源を見る著書としては他にツォニスの「Classical Greek Architecture: The Construction of the Modern」というのがあるようです。
http://www.amazon.com/gp/product/2080304429/

ついでにコロミーナとウィドラーの本も目次が見られるAmazon.comのURLを貼っておきます。
http://www.amazon.com/gp/reader/1878271083/
http://www.amazon.com/gp/reader/0262720418/

リーダー系は勉強するにはいいと思うのですが、もし翻訳することを前提にするなら、ほとんどが重訳になってしまったり翻訳権の処理などの点で難しいかもしれませんね。

なおリスト中のCacciariさんのファーストネームのつづりは「Massimo」でした。(私の書き間違いです。申し訳ありません。)

とりあえずとりとめもなく書きましたが、何か方向性が見出せるといいと思います。

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