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The colour

原美術館でオラファーエリアソン(Olafur Eliason)展をやっているhttp://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html。一昨年(2003)テートモダンでオレンジ色の巨大な発光ボールをぶら下げた、Weather Projectをネットで見てhttp://www.tate.org.uk/modern/exhibitions/eliasson/about.htm急に興味が沸きナディフで作品集を買ってつらつら眺めていた。見たいなあと思っていたら日本に来た。日本は便利な国である。

オラファーは自然、光、風、色がテーマな人のようで、テートではweatherをテーマにしたようだが、東京では光と色がテーマである。色に弱い僕にとっては久しぶりにさっさと感動させてくれる展覧会であった。
① 6メートル×6メートルの平面,高さ5メートルの部屋で床ゴムタイル黒、壁天井も真っ黒の部屋の上部から霧を降らせそこに光線をあてるとその霧が乱反射して絹織物のように揺らぎながら様々な色を発光する。
② 直径50センチくらいの偏光加工された透明のプラスチックリングを天井から吊るし、そのリングをモーターでゆっくり回転させる。そこに光を当てると反射光が部屋の床壁天井を這うように回転していくのである。偏光加工しているのでその光には微妙に色がつく
③ 6メートル×7メートル高さ3メートルの部屋の一つの壁がオレンジ色に発光している。手前から光を当てているのではなく裏側から光が当たっているように見える。その光は部屋中を充満している。ルイス・バラガンの黄色い教会に満たされた黄色い光のようである。
ドイツの心理学者ディビッド・カッツは色を、表面色(surface colour)面色(film colour)空間色(volume colour)に分類したが、その分類をオラファーの上記作品にあてはめてみるなら①は面色、②は動く表面色、③は空間色となる。つまり彼は現象形態を変えながら色の様々な側面を見せてくれているということである

ところで色というのは、ヴィットゲンシュタインが言うように、このオレンジ色を客観的に説明せよと言われてもそう簡単にできるものではない。それほど客観性に乏しい属性である一方で、たとえば上記オレンジの部屋に入ると確実に体感温度が3度上がるような客観的属性も持ち合わせているものである。つまり色の面白さ魅力というのは、個人的であったり万人的であったりするその2面性にあると僕には感じられる。さらにその現象の仕方で言うと、その空間色としての側面は容易に巨大な空間を満たしてしまう(テートモダンのように)そうなるとその存在は端的に大なのである。昨今の巨大アートブームにパラレルなその大きさが所謂崇高(sublime)をひきおこすのは言うまでもない。色はそうし2面性と崇高さ(sublime)へ容易に連結して、こちらに訴えかける力を持つのである。

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コメント

bbsに貼ったポスター写真を見たのだとすれば、これはホンモノの方がはるかにいいでしょうね。霧の降る部屋だから、空調が効かず寒いのです。それがまたとても効くんだよね。
寒いと言えば長野は昨晩から雪で市内は真っ白。

こないだ、ポスターをみて、ぜひ見たいと思っていた展覧会です。
写真でみるのと、その色、および光に満たされた空間に入るのとでは印象がだいぶ違うのでしょうか?
とにかく行ってみます。

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