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2007年06月29日

第七講お題

本日は古来建築の主題である全体と部分についてお話した。そして部分と全体の比例を基礎に作られた建築を人間建築と呼び、そうした関係性を捨象し部分の増殖に基づく建築を妖怪建築と規定しその流れを概観した。さらに山崎正和の近著『装飾とデザイン』を紹介しながら、この二つの概念を山崎流に強引に当てはめれば全体はデザインであり部分は装飾になることを説明した。興味があったら読んでみて欲しい。
さて人間はものを構築する上であるいは思考をくみ上げていく上で全体性を無視することは不可能である。設計図に代表される全体性の見取り図は作らざるを得ない。一方でそうした全体性が必然的に導く抽象は様々な思考や造形の断片を喪失させる。こうした批判も部分をクローズアップしているだろう。そこで質問「君たちの専門の分野において(もちろん建築を例にしてくれてもかまわない)部分と全体の思考のせめぎあいについて事例を示しながら解説せよ」

2007年06月15日

休講中のお題#2

入梅しそうにない。梅雨と台風がキライな建築家にとっては幸いである。さて今回のお題は少し考えてもらおう。建築を批評していただく。対象は皆が知っていてかつ新しい建物と言う意味で、最近乃木坂周辺にできた東京ミッドタウン、あるいは国立新美術館。前者の場合その建物群全部でも構わないが、そのひとつの建物。あるいはそのランドスケープでもよい。例えば安藤忠雄の美術館だけというのでもよい。批評の指標は、ここまで講義してきた建築の規則の中のどれかひとつあるいは複数を選びそれをモノサシとしとするか、世の中に流布している批評の方法を用いるか、あるいは自らが生み出した新たな方法論を用いても良い。単なる感想文とならぬように説得力のあるものを期待する。締め切りは6月20日の水曜日である。

2007年06月08日

休講中のお題#1

さてこれから3週間休講となりますが、ウェブレポートは継続します。しかし講義がないのでレポートと言っても気楽な問いを立てることにいたします。今日はこんなテーマです。「本郷のキャンパスの中であなたの最も好きな場所(建築)を教えてください。もちろんその理由を添えて」よろしくお願いします。締め切りは来週水曜日6月13日です。天内さんチェックよろしくお願いします。

2007年06月01日

第六講お題

本日から話は関係の規則となる。ここには4つの規則がありその最初が重箱と平皿である。おせち料理のような重箱料理においては食物の種類とその入れるべき場所にルールがある。一方平皿の大皿料理ではそういうルールはない。これを建築にたとえて今日の講義は展開した。建築にも重箱型と平皿型があるということである。
重箱建築とはその場所の目的とそのしつらえにある関数(function)関係があるものを指す。そしてその状態を機能的(functional)と呼ぶのである。一方そうした関数関係を排除し、場所に目的を与えない建築が平皿建築である。モダニズムは重箱で始まり、平皿になりポストモダニズムで平皿は攻撃されたが90年代平皿は復活そして現在はその合いの子が闊歩している状態である。
青木淳は遊び場を例に挙げ場所に目的を割り当てた遊び場を遊園地、割り当てない遊び場を原っぱと呼び原っぱの自由を称揚した。
さて今日のお題である。皆の周りにこうした場所と目的の緩い関係性を発見しその是非を論じて欲しい。