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B面建築

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だいぶ前に川尻さんから頂いていた、川尻さんが担当された長坂常さんの作品集『B面がA面にかわるとき増補版』鹿島出版会2016をじっくりと見て読んでみた。冒頭の長坂さんの言葉はとてもわかりやすかった。素人がやっつけで作ったようなライブ会場の何とも言えぬかっこよさと大学でならった建築のかっこよさの埋めれぬ溝が少し埋まってきた。そしてそれをB面、A面と表している気持ち。とても理解できる。加えてこの作品集に載っているB面作品のカッコよさもよく伝わる。そうそうたる顔ぶれの解説がある。特に千葉雅也さんの言葉はそれなりの説得力がある。それでも彼の言葉の訴求力をもってしても、たんなる写真ではあるがこの長坂さんの作品写真の訴求力には勝てない。僕の場合建築写真のカッコよさを信じないほうだし、ビジュアルのかっこよさに興味がわかない方なのだがB面建築の場合はどうも違うようである。というのもそもそも長坂B面作品は今までの建築というものとはちょっと毛色が異なるからなのだろう。なんだかレイチェルホワイトリードのモニュメントのようでもあり、川俣正の破壊的なインスタレーションのようでもある。でもちょっとそれらとは異なるのである。こんなジャンル不定の物体なので写真がこちらの想像力を増幅させるのだと思う。こんな経験はそうあるものでもない。

そう見慣れているようでそうでもないものってそう簡単にできないのである。

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