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義父の言葉

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義父の十三回忌の法要を高輪覚林寺で行った。酒好きでタバコ好き、書も絵も上手く、庶民の味方の会計士だった。僕もだいぶお世話になった。最後の数年を一緒に暮らした。肺がんで長い闘病生活もなく他界した。
僕が日建設計をやめようと思った時に背中を押してくれたのはこの人だった。独立は男のロマンであると言ってくれた。しかるに人生は一回きりで自分の好きなこと以外をしてはいけないと息子を教育していた自分の父親は今の世界経済を予測して建築家に仕事はなくなるから独立はやめろと長文の手紙を送ってよこした。やれやれと思ったが、息子はそんな親父をシカトしてさっさと日建をやめた。仕事量は少ないがより価値ある仕事が続けられていると満足である。人生とはそういう科学的予測とはかけ離れた人間の意志で切り開かれていくのであるとその時思った。そしてそれは義父の言った通りロマンによって支えられた。ロマンがあれば前へ進めるし無いなら進まない。

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