補綴性
ベルナール・スティグレール浅井幸夫訳『偶有からの哲学——技術と記憶と意識の話』新評論2009
人間の記憶には3種類あって一つは遺伝子に託された種の記憶。二つ目は経験によって脳に刷り込まれる記憶。そして三つ目は技術によって外在化された記憶。それは本であり、レコードであり、映画であり、いや単なるメモやノートだってそれに当たる。人間はそもそも補綴性というべき不完全性を生来持っている。入れ歯だ義足だ補聴器だというようにどこか悪くなるとなんらかの技術でそれを補う。頭に記憶仕切れない内容をノートに書き留めておくのも同様の補綴性と言えなくもない。動物たちには補綴性があるのかもしれないが、それを技術で外在的に補うことはできないのである。
というわけで人間は技術と合体して一つの存在になるといっても過言ではなくそれゆえに技術は人間の運命を決めいていく極めて重要な哲学的思考の対象なのだというわけである。技術を過小評価してはいけない、、、、当然かな?