会社社会は幸せを招かない
元朝日新聞記者、稲垣えみ子『魂の退社』東洋経済新報社2016は50にして朝日を退社した著者の退社理由が綴られる。バブル時代に入社し、大坂で金をふんだんに使う取材と生活をし、ある日香川に転勤となり生活が一変して、会社に依存することに明日を期待できなくなり退社を決意する。38にして退社を決意した私としては50は少々遅いという気もするが、しかしそれでもこの時期に退社を決意するにはかなりの勇気が必要であり敬意を表する。未だに会社に忠誠を尽くし、転職はタブーというのが日本の会社社会である。そして会社に入ることがすばらしく、会社が経済を活性化して会社が金を儲けることを日本の最重要課題にしている安倍さんの目標は我々の既成概念からすればまったくもって当然の方針なのかもしれない。
「しかし」、と著者は言う。「会社社会はまったくもって幸せを招かない」。
同感である。会社社会を乗り越えなければならないのである。人より偉くなる、人より儲ける、人事と金に縛られた会社社会は緊張と精神の病を生むだけである。そんなことは皆わかっているけれどやめられない。麻薬のようなものなのである。どうしたら辞められるのだろう??会社社会。