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矛盾を抉り出すのがアートの価値

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我が家と理科大の神楽坂の間に外濠を見渡すギャラリーがある。MIZUMAアートギャラリーである。あの会田誠を世に送り出した三潴末雄が運営する。彼の著書『アートにとって価値とは何か』幻冬舎2014は彼の生い立ちそして彼の価値観が記されとても分かりやすいし納得がいく。
大学時代に学生運動に明け暮れた著者は卒業後広告業からアート世界に転身した。そこで20世紀の初期のアートが資本主義への反体制スタンスをとることでうまれるカウンターカルチャー(前衛芸術)として価値を持った。しかし市場経済がグローバル化しアートが戦う相手を失い現在アートが独自の価値を持つのが難しい。そこで著者が言うのはそうした矛盾が見えづらい現在でも西欧が世界に発信した文明に内在する人間社会との齟齬をえぐり出すのが現代アートの存在意義だという。
そうは言ってもアート自体は市場原理に従う商品であり、21世紀に成功する作家は大量生産型の工房作家、ダミアン・ハースト、ジェフ・クーン、村上隆などとなっているとこれはルネッサンスや江戸の工房型作家に回帰しているのだと分析している。著者が発見した天才会田誠などはスタンドアローン型で戦いづらいものだと嘆いている。
アートの大量生産というのはそもそも矛盾しているのだが、おそらくこれからの世界では大量生産大量情報発信というマスを相手にするアートと、オーラを纏うもう一つの一品生産型が共存する時代になるのではないだろうか??グローバルな一品生産である。

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