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最近の3つの興味

一昨日最近の自分の建築への考え方を整理すべく思っていることを佐河君に話してみた。話すことで頭が整理されるが、それをもう一度ここに文章にして整理してみたい。

僕は建築のコンセプトを事前的にではなく、事後的にやったことを回収して考えることも多い。一体自分はここで何をしたかったのだろうかと作ったものを見ながら反省するのである。そしてそこに見いだせたものをその次に事前的に設定する。しかしそこでも無意識のうちに発露することは様々あるわけでそれらは事後的に回収される。コンセプトはその繰り返しの中に見え隠れするものと考えいている。

おそらく今僕の興味は3つある。それらは一言で言うと、質料性、脱対象性、不連続性ということになる。漢語を使うと難しそうに聞こえるが内容はそうでもない。ひとつずつ考えてみる。
1) 質料性
これは日建をやめて美学を学び、造形が質料と形式で構成され、質料がモダニズムでないがしろにされてきた歴史を鑑み、質料の復権を考えようと思ったところから始まる。質料とは肌理、色、透明性のことであり、これらが建築の表面で持つ力を発揮させたいと常常思っている。そしてそれが五反田のアルミホイルなどにも現れている。
2) 脱対象性
これは見田宗介の社会学に端を発し、資本主義を正常な軌道に導くために必要な消費性、情報性の転回の必要性から生まれた概念である。対象そのものよりその外側との関係に表現のポイントをずらすという考えである。これは僕が2010年に著したArchitecture as Frameという考え、すなわち建築それ自体よりもそこから見えてくる、自然、人、家具、場所などに重点を置くことというコンセプトに整合している。そして実際昨今の僕の建築作品。例えば内の家、パインギャラリー、勝浦の家などがこのフレーム概念の上に乗っており、対象それ自体よりもその外部との關係にデザインの力点が置かれている。
また都市レベルで考えると去年から今年にかけてウィーン工科大学においてエルンスト教授と行っているワークショップIn-between(都市の中での隙間、間に注目すること)のコンセプトとも合致するのである。
3) 不連続性
これは建築レベルで言うと、2009年に作った高低の家の明るい廊下と天井の高い広間の間に挟まれた天井の低い暗い空間、2011年に作った三廊下の家の中央に背骨の如く横たわる天井の高い中央廊下、2013年に作った内の家の白いボイド、そして今年できた(仮称)勝浦の家の赤いギャラリー。これらはすべて二つ以上の空間に挟まれたつなぎの空間でありそして両側の空間とは全く異質な不連続な空間となっているのである。これは強く意識してきたことではないが、結果として不連続性を強調する空間としてこれらの作品の主要な要素となっている。これを都市レベルで考えると都市の中での不連続性が最近の興味となっている。先日のウィーンでのレクチャーDiscontinuous Tokyoは東京の不連続性を強調した。
不連続性は建築、都市双方において場のアクセントとして人々の意識を覚醒し、建築、都市を実感させる契機として重要な要素だと思っている。

これら3つの興味は実は微妙に相互の関連性を持っているのだが、まだ明快な説明はつかないのでこれはまた時期をみて考えてみたい。

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