パトリシア・コパンチンスカヤあっぱれ
コンセルトヘボウで聞ければいいやくらいに思っていたけれど、いやなんと今日のヴァイオリニスト、パトリシア・コパンチンスカヤあっぱれの演奏だった。モーツァルトのヴァイオリンコンチェルトの5番はモーツァルトのヴァイオリン曲の中でも最も有名な曲。ヴァイオリンを弾いたことのある人なら知っていると思うがこれはヴァイオリンソロがややゆっくしとしたスピードで始まり、一区切りついてから一気に快活に主旋律が始まるのだが、その出足が嘘だろうと思うくらい、のったりと始まった。音程はぎりぎりまで落として、ヴィブラートをかけずに、そしてボーイングもわざと滑らしてかすれ気味の音にしている。一体なんだ?と思わせておいて、主旋律で一気に音程を合わせ、細かいヴィブラートをかけてきた。こういう表情のコントラストが随所に付けられ、ついでにアクションも楽しげだった。こんな演奏家が旧ソ連から登場しているというのには驚いた。最後はスタンディングオベーション。思わず口をつく「ブラボー」。