土浦亀城の徳田ビル
○土浦亀城 徳田ビル 田中厚子『土浦亀城と白い家』鹿島出版会2014掲載
継続的ではないのだけれど「戦間期の日本のモダニズム」が気になっている。そんな興味から土浦亀城の本が目にとまり読んでみた(田中厚子『土浦亀城と白い家』鹿島出版会2014)なるほど土浦は戦間期にはやはり敬遠されたインターナショナルスタイルではなく切妻の家を作っていたようだ。それは坂倉や前川と一見すると同じである。しかし土浦は日本的スタイルがあるのではなく世界の中での日本と言う地方のスタイルがあるのだと主張していた。そのスタンスは当時の建築家の中では珍しかったのではなかろうか?
土浦への興味はもう一つあり、ライトに学んだのになぜコルビュジエのような家を作ったのかと言う点である。これは結局よく分からない。しかし彼はタリアセンにいる頃から徐々に、ライトの装飾に疑問を呈していたようである。
とは言え土浦帰国後1932年に竣工させた徳田ビルは土浦にしては珍しく角丸であり、1939年にできたジョンソンワックスを予言するかのようなライト的デザインである。現代的だとは言わないけれど半世紀後にできも旬なデザインである。
この本川嶋さんが編集担当。いい本ですね。