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アルビン・ラングドン・コバーンとの邂逅

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本日は理科大二部建築学科の社会人特別選抜の入試。朝10時から新入生の試験。午後は編入生。3時ころには終了。久しぶりに帰りがけにジムに行って汗をかく。帰宅すると定期的に送っていただいている『美学芸術学研究』31号が届いていた。これは東大美学芸術学研究室で発行している査読付き論文集である。何しろ美学だから対象範囲はとても広く自分の興味に近いものはいつも1~2割。しかし今回は掲載五題ともとても興味深い内容。デカルトの音楽論、バシュラールの触覚、A.L.コバーンの世紀初めのニューヨークの写真読解、アリストテレスの感性論などである。そこでジムの疲れもなんのその、コバーンの写真読解を早速読んでみる。著者は院生の調文明さん。この当時のニューヨーク写真の一般的な解釈であるピクトリアリズム(絵画的写真)からモダニズム(造形的)への移行という枠を超えて近代構造物への畏敬とそれを支えるプロレタリアートの世界の二重構造などコバーンの視点を細かく分析している。
ニューヨークの摩天楼写真分析は私の修士論文のテーマでもありA.L.コバーン(Alvin Langdon Coburn 1882~1966)は名前が分かっていたけれど資料を手に入れることができなかった。30年ぶりにその写真を見ることが(挿絵だけれど)できたのは何とも感激である。さらに修論での分析結果では当時の摩天楼は霧、霞、あるいは夜の空間に現象することが多くそれは近代の畏怖の念の現れではないかと推測していた。そして今回遭遇したコバーンの写真も(はっきりしないが)そうしたソフトフォーカスな空間に現象しているようでその頃の傾向を裏付ける事例なのかもしれない。

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