読み応えがありました。
今年の正月は欲張らずこの本だけ読もうと選んだのが、エズラ・F・ヴォーゲル益尾知佐子・杉本孝訳『現代中国の父 鄧小平』日本経済新聞出版社(2011)2013である。上下巻合わせると1000頁を超える大部の書である。著者のエズラ・F ・ヴォーゲルはご存じのとおりJapan as number oneの著者であり、アメリカのアジア研究の第一人者である。
鄧小平については以前 矢吹晋『鄧小平』講談社1993を読んで気に入りこの話題の書が日本で出版されてすぐに買って積んでいた。彼のどこがいいと言えばやはりこのリアリズムにある。毛沢東が原理主義的でありその弟子である鄧小平ははるかに現実主義である。僕自身は原理主義的にモノを考える部分がある一方で原理主義だけでは物事が進まないと考えている現実主義者である。その意味で鄧小平は人生に多くの示唆を与えてくれる人である。一方で文化大革命を毛沢東の責任とするのではなく、死ぬまで権力が一人の人間に集中してしまう政治システムの問題と捉え得た割には自らの政治権力を80台まで維持したのは少し長すぎたのではないかとも思っている。彼に気に入らないところがあるとすればそのくらいかもしれない。