ファベーラはもはや無法地帯ではない
ファベーラ(南米のスラム)の観光ツアーがある。日本で言えば山谷ツアーである。3時間で1万円強。3時間と言ってもツアー参加者のホテルを回ってピックアップするのに1時間。終わってホテルに送り届けるのに1時間なのでファベーラの中を散策するのは正味1時間。それで1万円とは少々ぼってる。とにかくブラジルは物価が高い。感覚的には日本と同じかモノによっては日本より高い。アルゼンチンから来るとぐっと高くなった感じがする。
ファベーラの中はもっと汚く、もっと危険な香りがするのかと予想してきたがさにあらず。いっしょにきたスイス人のおばさんも南アフリカのこういうところは比べ物にならないほどだと言っていた。
ファベーラはどこの国でも違法無法地帯で電気も水道も違法に他の場所から引き込まれている。そしてそのお金は政府が払っている。彼らを見殺しにはできないと言うわけだ。そしてあまりに巨大で(ちなみに僕らが見に行ったところは人口20万人)クリーンアップして作り直すお金などとてもない。そこで政府はファベーラは残し、少しずつ改善する道をとることにした。このファベーラも下の方にファベーラ住民のためのスイミングプールや学校がある。また中心部には政府の作ったハウジングもある。建築家としてそれに取り組んでいるのが、コロンビアのメサやチリのアラベナである。パレルモ大学の課題もファベーラの改善スキームであったのを思い出す。