戦後の大きな転換点に今僕らはいる
松崎之貞『吉本隆明はどうつくられたか 』徳間書店2013、を読む。吉本にとっての戦争の重さを痛感する。そして戦前から戦後にかけての多くの知識人の身勝手とも思える思想的転向の無責任さに思いが至る。一方白井聡『永続敗戦論――戦後日本の核心 』太田出版2013を読むと日本は敗戦を終戦とすり替えることの代償として戦後永続的に対米従属状態にあるという著者の指摘に納得する。そしてそのまやかしの終戦が吉本をして怒りの極致に至らしめているのであろうというおぼろげな戦後が見えてくる。しかしこのまやかしの終戦ももはやアメリカにとって日本の戦略的価値が軽減し、中国はもはや日本を凌駕する大国となった時に、この終戦対米従属レジームは有効性を失うのであろう。戦後の大きな転換点に今我々はいる。