伝え方は技術(練習)である
友達が佐々木圭一というコピーライターの書いた『伝え方が9割』ダイヤモンド社2013という本を貸してくれた。最近売れているらしい。この本にはちょっと驚くことがある。一番最初に全体の要約がA4一枚程度にまとめられていてこれを切り離して手帳にはさんで持ち歩けと書いてあるのだ。そしてこの要約が見事である。これを読むと中身を読む必要が全然ない。いやあ本ってこんなものだよ200ページの本の重要なことなど2ページにまとめられるものなのだと痛感した。
いや待てよ?しかしそれではちょっとまずかろう。僕がいつも思うことはある本の内容の自分にとって重要と思うことは確かに1ページ程度にまとめられる。しかし全文の内容が1ページでは少々内容が薄っぺらだよなとも思う。1400円の内容がA4一枚というのだとさて?買う価値があるのだろうか?と少々疑問でもある。
でもまあそれを差し引いても売れているのにはそれなりの理由がある。そう思ってもう一度さらっと読み返すと、良いコピーが生まれるのは才能では無なくテクニックであるという著者の実体験に基づく確信が吐露されているのである。およそ才能が無ければできないという職能の半分以上は才能の問題ではないと僕には思える。だから著者の確信には共感する。じゃあだれでもA4一枚の指南書を携えていれば名コピーが書けるのかと言えばそれは無理である。問題はその指南書をもとに努力(練習)できるかどうかである。
建築版『伝え方が9割』を今書こうとしている。でもその本を携えていれば誰でも優秀な設計者に成れるのかというとそれは無理である。それをもとに才能に頼らず努力(練習)できるかどうかの問題である。