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アアルトを見ながら日本を思う

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アアルトをこの年齢になって初めて見た(本屋、自邸、スタジオ、ホール、オフィス)。その昔1970年大阪万博のフィンランド館を見たことはあるがそれはもう記憶の中から零れ落ちているので実質的には初めてである。トータルにこの建築家の良さとか凄さを体系立てて理論的に説明しようとするのは僕にはとても難しい。どうしても箇条書きのようになってしまう。
・階段が緩くてのぼりやすい
・室内のスケールが家具の延長上にあり、使いやすい
・室内のスケールが家具の延長上にあり、スケールアウトしていない
・光が柔らかく劇的ではなく緩やかに入るようになっている
・建具のディテールがきめ細やか
・取っ手のディテールが家具のようである
・外観は多少目立ち彫刻的な場合もあるけれど、物静か
・外装のディテールがきめ細やか
・ヘルシンキのアアルトの外装は全て白かった。レンガに白塗りか、ビアンコカララ
・外装周りの建具は木が多く、アクセントがつけられていた

目立ち過ぎず、使いやすく、気持ちよく、欲しいものが欲しい場所にあるような建築。アアルト建築の一日の感想を敢えて言えばそんなことになる。
アアルトの時代がどうだったかは知る由もないが、こんな場所で生活して、仕事して生きているのが今の北欧の人たちには似つかわしい。地図を持って道に立っていれば99%誰かが道を教えに来てくれるのは彼らの生活のゆとりなのだとこちらの人が教えてくれた。大きな政府に守られてのんびり生きている彼らは自己責任の競争性や攻撃性は少ない。日本のゲーム社会に馴れてしまった僕などは、こんな北欧の世界に仮に生きたらばきっと飽きるだろうなあと思いつつ。またあの不必要に攻撃的な社会に戻って仕事するのかと思うと憂鬱にもなる。

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