電子媒体の波
今日の朝日の夕刊にニューズウィーク紙の発行これが最後(Last Print Issue)と報じられていた。すでに知ってはいたが改めて新聞で見るとショッキング。これからは電子版だけとなる。それは、しかし雑誌新聞のこれからの宿命とも感じる。僕は朝日新聞の紙もデジタルもとっているがそれは双方を体感したいからである。その結果、正直言ってどちらがいいとも感じてない、風呂とトイレではデジタルだが食卓では紙である。外出してまでニュースを知りたいとは思わないが、読みたい人はデジタルの方が便利だろう。まあいずれにしても両方必要だとは感じない。そうなると省資源、速報性から言って、電子版が残るのだと思わざるを得ない。
さて建築界にもその波はもちろん来ている。図書館から来年の雑誌定期購読の件で電話が来た。『2G』は来年紙媒体は無いですよと言う。本当?何度も問い直してもらったが正しいそうだ。この状況が『2G』で終わるわけはない。よほどの理由がない限り、おしなべてほとんどの雑誌も同じことになると思う。さて紙媒体がなくなると一体どういうことになるのだろうか?そもそもニューズウィークのようなテキスト媒体と異なり、視覚情報がメインの建築電子媒体の情報は売れるのだろうか?その情報を買う買わないはその希少性と質にかかわっている。つまりそこにしかない情報かどうかということと、その情報の質(写真ならその解像度やアングルの)である。さてその希少性だが建築の場合その視覚情報がそこにしかないということがもはやほとんどなくなっている。設計者のホームページに行くまでもなく、どこかの建築HPで手に入れることができる場合が多い。もちろん雑誌の電子媒体の情報の方が若干質が高いことは確かだが、あえて雑誌の電子媒体を個人が買うだろうか?となると雑誌電子媒体の生き残る道は二つ。ひとつは写真、あるいは動画の個性と質、今までのような客観的写真ではもうだめなのかもしれない。そして次は思想である。それを生み出すのは評論であり、編集方針である。すなわち雑誌全体の個性が建築思潮を語っているかどうかという点である。そうした骨のある電子媒体が登場することを皆が期待しているのだろう。