建築の規則の効目
同済大学のWang教授は大学院で建築論を教えている(と言ってもまだお会いしたことは無い)。その彼に拙著『建築の規則』について話して欲しいと頼まれた。日本語も堪能なのかと思ったが、HP上に載っている英語のサマリーを読んで興味を持ってくれたようである。
そんなわけで午後自分の本を読み返してみた。この本の後半部分は講義で使っているので頭に入っているのだあ、前半部分は少し記憶が薄れている。
この本は時代によって可変的な建築意匠の指標作りと思いながら考え、「質料」、「形式」、「関係」という3つの軸を紡ぎだした。しかし書き終って、ちょっと違う水準でもっと社会構築的な指標があることに気付いた。そこでジェンダー、消費、他者性、倫理、視覚、グローバリズム等を軸に新たな枠組みを作って一つの講義を作った。それは「建築の条件」というタイトルで後期理科大の一部生向きに講義をする。そんなわけで最近建築の規則は普遍的な建築原理だと人に言うようになっていた。しかし読みかえしてみるとやはりこれらの指標は暫定的だよなと思い直した。
そもそも形式はモダニズム的だし質料はアフタモダンな価値観。関係に至ってはとても現代的である。というわけでやはりこの指標は、可変的、暫定的。そしてその可変性は単に時代に応じるだけでは無く場所にも応じるものであるだろう。ということはこの『建築の規則』21世紀日本の生ものなのであり中国でも旬であるかどうかは定かではない。これはちょっと面白いことになってきた。若い中国学生はどう感じるだろうか?
夕刻Wang教授からレクチャーのポスターが送られてきた。この前のグアテマラのポスターに比べるとシンプル。お国柄でしょうか?