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50年代の家に住む

今日はアルゼンチンの祝日、労働の日である。いくつかのカフェとキオスクを除いて街は殆どクローズドである。ちょうどアルゼンチン滞在も折り返し点。アパートでゆっくりしようなんて思うものの、貧乏根性丸出しで行けるところは行こうと南部のボカに足を延ばす。前回見られなかったスタジアムを拝む。例によってここもコンクリートがペンキで塗られている。ボカのチームカラー黄色と青。大統領執務建物をピンクに縫ってピンクハウスと呼ぶのだからもう驚かない。
午後はアパートで午睡。一週間たっても時差ぼけが解消できないのだから歳だ。夕食はパレルモ大学建築学科長のダニエル・シルベルファーデンのディナーに招かれる。1950年にできた築60年のコンドミニアム。レコレタ地区の中でも最も高級なエリア。250㎡3ベッドルームに巨大なキッチンと二つのサービスルーム。そこには勝手口がありサービス階段とサービスエレベーターに繋がる。木製の巨大な玄関ドアを開けると8畳くらいの前室がありそこからテラスのついたリビングと低いソファの置かれたラウンジに繋がる。学科長なのだから特別な人思いきや、こっそり友人に「彼はリッチ?」と聞くと、「ここは借りものだからそうでもない」なんていう答えが帰って来る。
それにしてもいろいろなことに驚かされる。
① 60年前にこれだけのデザインがなされていること。日本の50年代にはもちろんこんなもののかけらもない。
② 例えば、天井高3.6メートル、大きな部屋間の間仕切りドアは全て壁に引き込まれ、キッチンの吊り戸がアールデコ調機能主義、アパートなのに勝手口がありサービスエレベーター設置、各部位の美しい素材、etc.
③ 60年前のデザインを大事に残そうとする精神。日本にはない。
さてパーティーのしめは僕らの為に周囲の散歩をしながら建築レクチャー。周囲をワンブロック歩くだけで20世紀の重要な建物がいろいろと出てくる。帰りはアルゼンチン製フィアットで送ってもらう。



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