ゼミの教師の役割は聞くこと
早稲田の講義の後いつものようにあゆみbooksによる。阿川佐和子の『聞く力』文春新書2012を買って昼を食べながら読む。阿川佐和子と言えば週刊文集に20年も対談記事を連載している聞くことの巨匠である。一年50人として20年で1000人である。1000人ものそれなりの人に会えたなんて羨ましい。そんな阿川さんは震災後自分が何を手伝えるのか分からないと途方にくれていたそうだ。そしてその時糸井重里の話しを聞いた。糸井も震災後被災地に行く理由が見つからず呆然としていた。ところがある少女とネット上で会話し、是非避難施設に行って皆の話すことを聞いて欲しいと言われたと言う。避難施設には人が沢山いて皆自分の恐怖体験を語りたいのだが、皆同様の体験をしており話せばそれ以上のことが返ってきそうで話せないでいる。だから被災していない人に聞いて欲しいのだと言う。それを聞いた阿川は即座に「行く」と思ったと言う。聞く専門家がお役に立てるのならということだそうだ。
重要なことである。実はなぜこれを昼読んだかと言うと夕方ゼミをするから。ゼミにおける教師の仕事の半分は聞くことだと思っている。もちろん学生が話すことをきちんと考えてこなければその限りではないが。