研究室と言う不思議な場所
研究室という大学内のシステムは日本独特のもの。その昔東工大でスチュワート先生の下で卒論書いて(英語で)表紙にStewart laboratory と書いたらStewart kenkyushitsuと書き直された。諸外国にはこういう学生の居場所は無いようだ。僕の留学先にも無かったし一昨年行ったブエノスアイレス大学にも無かった。
確かに考えて見れば卒論やるにも卒計やるにもゼミ室と工房(製図室)と図書館と実験室があれば事足りる。UCLAにも大きな木工場とどでかい製図室はあったし教授室もあったがそれに附属する研究室なる不思議な部屋な無かった。
一体この部屋の効用は何かと言うとおそらく儒教的な先輩後輩、師弟の上下関係を叩きこむ場所なのである。それが証拠に欧米の大学には先輩後輩なる人間関係は殆どない。私の留学先にも無かった。お互い歳がいくつかも知らず話していた。ただ社会人大学院に入った若い僕は5つ以上年上(に見える)のクラスメートとは人間的にも能力的にも差があったのでそれに対するリスペクトはあったように思う。
繰り返すが日本の研究室は厳しい上下関係のもと軍隊の如く助手がいて、院生がいて、学部生がいるという階級制度が確立し先輩の言うことは絶対なのである。しかるに、わが研究室は初年度で学部生しかおらず先生も助手もリベラルな上に彼ら二人は学生からの何のリスペクトも受けていないのでまったくもって無秩序状態に陥っている。時あたかも卒計提出まじかということもありその無政府状態に拍車がかかっている。来年度は院生も登場し厳しい規律と管理のもとに研究室が美しく保たれることを祈るのみである。