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問いのたて方

岩波新書からシリーズ日本近現代史というのが出ている。全十巻だが以前第九巻の吉見俊哉『ポスト戦後社会』を読んだ。とても面白かったのだが幕末から始まるこのシリーズを最初から読む興味は無かった。
最近例の『中国化する日本』を読んで明治維新を中国化と捉える視点にたいそう興味が湧いた。そしてその中国化した日本は何度か再江戸化すると言うのも面白い。このシリーズの最後のまとめである第十巻岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』岩波新書2010を読んでみる。そうすると実は『中国化する日本』と同じことが静かに書かれているのに気付く。
曰く、明治初期は政府と民権派の2極構造では無く、この他に自由競争に乗る気の無い民衆なるものがいた。つまり明治は2極構造ではなく3極だったと言う。こんなことは高校の教科書ではあまり注目されていなかった。それが明治を再江戸化する力へつながるわけだ。今でいえば新自由主義の自己責任を回避したい人々がもっと福祉をもっと保障をと訴えるのに似ている。

やはり日本人は江戸から脱却できないのか?
でもそんな必要があるのか?
あるいは江戸に代わる未だ試したことの無い新しいシステムがあるのか?
どう問うのがこれからの社会を豊かにするのだろうか?

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