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頑張れ学生

朝から二部建築学科の卒業研究発表会。僕はこの手の発表会がとても好きである。大学生が唯一必死になって継続的に長い期間勉強したことの集大成だから。なので自分の専門外でも理解してみたいという欲求にかられる。そしてよく分からないまでも背景と結論くらいはなんとなく理解してその人のそれなりの頑張りを感じてこちらも気持ち良くなる。僕の研究室は二部は全員設計を選択したので論文は0だが来年は数名を論文枠にするつもり。
帰宅後大島寧子『不安家族―働けない転落社会を克服せよ』日本経済出版曲2011を読みながら若い人たちの社会を考える。正直この本に書いてあるようなことは殆ど他のこの手の本に書いてあり目新しい内容は無い。たださまざまなデーターが視覚的に分かりやすく並べてある。
というわけでこの感想も目新しいことではないが、日本の社会保障費に占める、子供、教育費が老人のそれに対して圧倒的に少ないのが日本であることに違和感を感じる。国立大学が5000ドル以上かかる国などこの資料ではアメリカしかない。国立大学でさえそうなら私立大学はもはや終わっている。日本の私立大学が一斉に業務を放棄したらこの国はどうするのか???私立大学がお味噌的なレベルでしなかないらならまあいい。しかし何度も言うが私立大学なしに日本の高等教育は成り立たない現状で私立大学の授業料がこれだけ高いことは論外である。加えて、こうした必要不可欠な私立大学、もちろんレベルの高い国立大学も含め、そこに至るための教育費が高すぎる。それでも日本は生きる選択肢が少な過ぎて、所得の低い親が生活レベルを下げてまで私立小中高等学校や塾に投じるわけである。
こんなでたらめな社会があっていいわけはない。しかしもちろんけっきょく社会保障費を厚くしろと言う主張は(著者の主張でもあるが)財源の問題になる。僕は防衛費や不要な予算を削減しろと先ず思うのだが、著者は消費税増税へと結論づけている。
厳しい若者問題を読んだついでに風呂で宮台真司の『就活言論』太田出版2011を飛ばし読む。腹も立つけれど基本的にこの人と立ち位置は似ている。だから彼の言うことはだいたい正しいし反論する気も無い。その通りである。就職は親の為にするのではない。親が喜ぶところに入るために君の人生があるのではない。国や行政に依存するな。人任せにするな。空気に縛られるな。その通りである。そしてそういうことをしたければ大きな組織には絶対行くな(これは僕の意見)。大きな組織で起こっているのは全部これらのテーゼの逆である。人任せ、空気を読む、行政と国の顔色しか見ない。そんな出鱈目な組織に明日はない。自分の目で確かめて自分で生きる。ここにしか君達の明日は無い。頑張れ学生諸君。

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