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建築計画2.0は3.0を生む原動力

明日の打合せ図面をチェックしていたら決まっていないことがいろいろあって一つずつ考えていたら結構時間がかかった。夕方大学に行き、輪読本西村清和『現代アートの哲学』の説明をし、1時間設計の課題を与える。今日はHOUSE SAを料理する。この複雑な構成を変化させる力は4年生には無いのでアクソメを描けというシンプルな課題を出す。九段から神楽へ移動し製図エスキス。さあ残り一週間。
昨日『一般意志2.0』の読後感を書いたら、コメントをいただいた。巷の「2.0」系の話は「平均」を作る活動だと。なるほど確かに。僕が恐れた建築計画2.0(藤村さんの言う建築家2.0ではなく)も建築を平均値へ誘うクラウドデーターベースの暗黙の力を言いたかったわけである。
しかしこの力はいかほどのものだろうか?クラウドデーターベースは建築を平均値化して都市を均質化するのだろうか?と考えるとことはそう簡単ではない。建築計画2.0が厳然としてあるならば、創造と言う行為はそこからの距離によって計られるはずである?と考え直した。
我々の事務所にKという洋書屋さんが頻繁に来る。彼は有名どころのアトリエ事務所、組織事務所、ゼネコン設計部、大学研究室を売り歩きその売れ筋をデーターベース化して我々の所に来る。そして「この本はアトリエ系で売れているから是非どうぞ」「妹島事務所でよく売れた」「誰が買った」などと言って売りこんでくる。まるで人間アマゾン、アナログクラウドである。アマゾンではたまに推薦された本も買うがKさんの誘いに乗ることはめったにない。それは自分なりにデーターベースの質を読んで距離をとっているからである。建築計画2.0という平均値ができれば、我々は必ずやその性格や確かさを値踏みし、それに基づき自らを相対化する。結果それは均質性ではなく多様性としての建築計画3.0を生み出すジャンピングボードとなるのかもしれない。

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