ヴァンクーヴァーの役人の意識
午前中新宿御苑の茶会に行く。茶室楽羽亭は中村昌生の設計。4畳台目の茶室は使われず、十畳の広間で濃い茶を、椅子席で薄茶をいただき弁当を食べる。雨が降りそうで降らない霞のかかる新宿御苑だが茶室周りだけ華やいだ雰囲気である。
午後26年ぶりにUCLA時代の一番の親友Thilo Driessenと再会。彼は卒業後チャールズムーア、リゴレッタの事務所で働きヴァンクーバーに引っ越す。しばらく設計事務所に勤めていたが経済危機が訪れ全く仕事が無くなりブリティッシュコロンビア大学院に入りランドスケープを学び市役所で街づくりの仕事を開始。現在はBoard of Parks and Recreation のマネージャーである。と言われてもどんな仕事かよく分からんと言うとまあ公園作ってどのように人々を遊ばせるか考えるようなものだそうだ。
そんなわけで彼は余り建築単体に興味は無く街づくりに関心が移っていた。そして彼らの問題意識が日本と同じように街とは計画的にできるものなのか?役所はどのくらい重要なのか?という所にあるのが面白かった。というのも表参道のカフェで会って、青山をぶらついてもこの辺りはきれい過ぎるし、表層的でつまらないと言う。そこで千代田線で根津に行き裏路地をぶらつきながら谷中銀座を歩き日暮里からJRで上野に行き西洋美術館を見せるが反応なし。そこでアメ横に行ってからJRで東京駅へ。丸の内の高層ビル群を見せると典型的な60年代のアメリカの失敗ダウンタウンのようだと言うので、三菱一号館の辺りに連れていく。日曜の夜の歩行者の量に驚いていた。
ビールでも飲むかと誘うとさっきのアメ横に行こうという。路上の丸椅子で焼き鳥食べながらビール。「こう言う場所は役所のプランニングでできるモノではない」という「こう言う日本的無計画なchaos は大好きだが、計画的でconformityのある街(例えば青山等)とどう折り合いをつけながら計画していったらいいのだろうか?一体君のような大学の先生はハイブローな街を優先的に考えるのではないのか?」と言うので全くその逆だと言ったら「wonderful」と言われた。
太平洋の向こうでも同じ意識の人間がいてしかも役人をやっていることが嬉しかった。