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吉阪隆正的想像力

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●倉方さんが撮られた写真を再掲載

夕方卒業設計の中間講評会。高橋堅さん、新堀さん、他非常勤の先生8名そしてゲストの倉片俊輔さんを加え豪華なメンバーで講評。いやはやこれだけの布陣で見るほどのものになっていないのが残念だしお呼びした方に申し訳ない。
講評途中で倉方さんのショートレクチャーを聞く。伊東忠太と吉阪隆正について。吉阪の呉羽中学校の未完性の面白さがよく分かった。つまり建物が長年の間に新たな予想外の使われ方を生んでいくという面白さである。
帰宅後『吉阪隆正の迷宮』2004吉阪隆正展実行委員会編2005をぺらぺらめくると石山さんのコメントに目がとまる。吉阪隆正と丹下健三の違いについて。吉阪は先ず建物を配置すると人間の歩く道は自然にできると言う(セミナーハウスなど)。一方丹下さんはまず歩く道を決めてその中に建物を置くのだと。
計画者が計画できることの限界を見極め後は人間の力を期待すると言う態度は極めてポスト近代的である。丹下の方法はまさに近代。そう言えば先日お会いした板屋緑さんも「建物はできた時が一番いい時ではない」と言っていた。彼のデザインは何かがはずれたり壊れたりしながら核とした部分だけは風化せず残りそうな建物である。千年後に遺跡になった時を想像させる。変化を許容するデザイン。これが吉阪的早稲田の伝統か?!
そんなざっくりとした、何かがおこるかもしれないと想像力を掻き立てるような卒業設計が生まれてくることを是非是非期待したいところである。

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