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コンサマトリー化する若者

児童養護施設のお金がやっとまとまりゼネコンへ設計説明を行う。200枚近くの図面を3時間くらいで理解してもらうのは無理なことだがとにかく最初が肝心。構造からは建て方要領のアドバイスまで行われた。本来ゼネコンがやるべきことなのだが心配なのだろう。
行き帰りに古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』講談社2011を読む。著者は弱冠26歳の論客である。日本の20代の若者の生活満足度は2010年の時点で男子で65.9%女子で75.2%だそうだ。過去40年間で15%近くも上昇している。景気低迷+就職難で若者の状況はどんどん悪化しているのにも関わらずである。しかし、じゃあ世の中何の問題も無いのかと言えば、20代の日ごろの生活の中での不安感はここ20年間くらいで30%以上も上昇している。幸福だけど不安なのである。大澤真幸はこう解読する。幸福と言うのはそれ以上の幸福の可能性が無い状態の時に生まれる感情だと。「今日よりも明日がよくならない」と思う時、人は「今が幸せ」と答えるのだと。そしてこの今の幸せを大事にする感性をコンサマトリーと呼び今の若者はコンサマトリー化していると分析される。この解読はなんとなく妥当。しかしそう思うと少々もの悲しい。身の回りの小さな幸せに満足してしまうと言うことは、未来への夢など持ち得ないから。もちろんそんな生き方を否定しないけれど、それでいいのだろうか?

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