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槇文彦の立ち位置

久しぶりに古河に打ち合わせ。納図してから入札、見積もりが上がるまで2カ月近くかかった。そして結果は結構高い。どさっと分厚い見積書をもらって帰りの電車で眺めるのだが、果たして上手くいくか?毎度のこととはいえども憂鬱な時である。
行き帰りの車中『メタボリズムとメタボリストたち』を読む。その中に「群造形と現在、その四十五年の軌跡」という槇文彦の論考がある。その中で槇は他のメタボリストと自らの違いをこう記す
「私の立場が明らかにほかのメタボリストたちと異なっていたとすれば、私自身、形態やシステムによって支配されるほど、我々の環境は単純なものではなく、意志のある個の支配が究極的には強いという立場を当初からもっていたことにほかならない」。それがメガフォームでもなく、コンポジショナルフォームでもなく、グループフォームに思い入れる槇の根底にある思想であり、それは45年間変らぬ彼の意志なのだと思う。
昨今街づくりや地域でのトークセッションなどで常に物理的環境の問題以前に人々の意識や住まい方の問題が持ち上がる。それは槇たちが半世紀前に気付いていたことである。そしてその問題意識の重要性は未だに変わらない。
夕刻事務所にクライアント来所。6つの案の模型を前に3時間半の長丁場の打ち合わせ。最初に模型を見せる時は毎度緊張する。そしていろいろ意見を聞く中でまったく別の案も思い浮かぶ。しばらく寝かせておくかな。

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