書評と建評
豊崎由美『ニッポンの書評』光文社新書2011を読む。書評は批評とは違う。本をとりまく役割分担を著者は大八車にたとえる。大八車の両輪が著者と批評者そしてその大八車を引っ張るのが編集者であり、書評家はその車を後ろから押す人だという。そして批評は読後に読み、その本の文学的位置づけ、思想の意義などについて熟考するためのことが書かれたものである。一方書評とは本を読む前に読みその本を読みたくなるための文章だと言う。
先日磯さんを講評会のゲストで読んだ時に「僕はいい建築を見つけて人に見てもらうために文章を書いているのであって評論家ではないよ」と言っていた。つまり豊崎理論で言えば磯さんは書評家ならぬ建評家である。建築をとりまく大八車を後ろから押す縁の下の力持ちということである。