未来派の古典性
1914年サンテリアの未来派建築宣言はこんな言葉で始まる「18世紀以来もはや建築は存在しない」この言葉は当時の建築を否定すると同時に17世紀以前の建築を肯定している。そして言葉はこう続く。「近代建築と称するのは・・・カーニバル風の装飾でけがされている。それらの装飾は構造上の必然性をもっているわけでもなければ。また趣味によって是認されているものでもない」。この「趣味」という言葉が最初の一節を裏付ける。趣味とは17世紀に生まれ18世紀末には既にその働きを失った古典的な美の判定概念だからである。つまり「趣味」の肯定は17世紀以前の建築の肯定につながる。20世紀のアヴァンギャルドが古典的側面を併せ持つというのはコルビュジエを始めよくあることだが、未来派にもそうした古典性が垣間見られて面白い。