トンネルのような建築が作れれば、、、
トンネルの面白さを感ずる時がある。雪国という小説がそれを端的に表している。ノーベル賞作家川端康成の小説である。「国境(くにざかい)の長いトンネルを抜けると、そこは雪国であった」。入るところと出たところの風景の差が驚きとなっている。
そんな建築を作りたいとよく思う。建築自体はどうでもよく、抜けて出たところに違う世界が広がっているという建築である。そう言う操作は実は別に目新しいものではない。例えば北入りの住宅で玄関を入るとパッと南の庭が広がる建築というのはそいう類である。例えば林昌二の自邸などはまさにそんな建築だ。僕はこの住宅が好きではあるが、くぐりぬけていく感じがちょっと希薄である。もう少し無であるトンネル空間があったらなあと思う。フューチャーシステムのコムデギャルソンのトンネルもいい。でもあのインテリはどうなっているのだろうか?くぐりぬけた後何も無ければいいのだが。その先を知らない。手前と奥のその差だけが問題になるようなそんな建築にお目にかかりたい。