少子社会日本
昼から九段で会議。今日は天気も良く気温も高く桜もちらほら開花。軒並み入学式は中止なので(理科大も)隣の武道館の周りに学生の姿は見えないが花見客が佇んでいる。会議後神楽坂までぶらぶら歩き新入生ガイダンス。教務担当の先生が履修のガイダンス。1時間徹底した説明。理科大二部は卒業するのが大変難しいということがよく分かった。1年から2年になるところで約3割、3年から4年になるところで約4割落第するのが最近の統計だそうだ。ということは4年で卒業できる人は全体の半分と言うことになる。
先生がそれぞれ自己紹介しながら一言。震災に触れない先生はいなかった。僕も震災に触れざるを得なかった。そして震災は日本が日本を根底から見直すきっかけとなっているだろうけれど、この見直しはたとえ震災が無くてもやらなければならないことだった。逆に震災がきっかけとなることで見えにくくなることも多い。大戦後に日本は急速な復興を遂げたがその急速さが弊害を生んだ部分もあった。よくよく考えて手をつけないと同じ轍を踏むことになる。そんな問題を僕らは一緒に考えたいという主旨のことを述べた。
夜山田昌弘『少子社会日本』岩波新書2007を読む。なんだか前に読んだような気になったがそれは上野千鶴子と辻本清美対談本『世代間連帯』岩波新書で上野が頻繁に引用していたからだと気がついた。著者の結論は明確だ。少子化は二つの要因の抱き合わせでおこる。一つは「若年男性の収入不安定化」。二つ目は「パラサイトシングル現象」だそうだ。つまり大学卒業しても独り身だと親と同居し続け、そして収入が少ないと男は結婚をひるみ、女は親が結婚に行かせない。これが欧米だと収入不安定の条件は同じでも親に依存するパラサイトシングル状態を文化的コンテクストが許さないので独立する。収入が不安定なので結婚して二人の収入で暮らすことになる。日本の出生率の低さは深刻である。僕は常々大学出たら家から出ていくように娘には言っているが、僕と同世代の人でも子供をずっと受け入れようとする人が多いのには驚く。
少なくとも理科大の学生は自立心を持って卒業したら親から独立して生きてほしい。しかしそのためには働く場所を確保していかなければならない。経済と少子化もまた連動する話である。