kawaiiは女子文化の象徴か?
『上野千鶴子に挑む』所収の宮本直美の論考「「二流の国民」と「かわいい」という規範」で著者は「かわいい」とはそのラベルを張り付けた対象が決して他の存在を脅かさないものであると定義する。それゆえ「かわいい」に憧れる日本の女性とは他の存在(すなわち男)に屈服することを暗に認めているわけであり、それは自らの自律を放棄した「二流の国民」であると切り捨てる。なるほどそうかもしれないと思う一方、昨今の若い女性が「かわいい」の呪縛されているのだろうかと少々疑う。確かに「かわいい」は多かれ少なかれ現代日本文化に表出する一つの価値観であることは疑う余地が無いのだが、ではそれは女子文化特有のものかというとそうとは思えないからである。繰り返しになるがそれは日本全体に蔓延する風邪のようなものであり、女子特有とは言い難い。これは自分の指導してきた学生を見てもそう思うし、女子高生の娘を見ていると更にその感は強くなる。