多様性を包容
朝一でゼミ。今日の輪読本は土屋淳二『モードの社会学』。ファッションの社会学的分析では成実弘至の著書は定評があるが、それらはトピカルな話題をその都度フィーチャーしており初心者向けではない。一方土屋さんのこの本は上下巻あり体系立っておりやや生真面目だが、学生にきちんとした用語の定義から学んでもらうには好著だと思う。特にファッション、モードという概念を過去の使用例から正確に定義づけており、これらを建築分析に借用する場合も誤解を生まない。
午後製図。今年の2年生は昨年に比べるとややデザインの意欲が希薄なようにも感じていたけれど二つ目の課題ともなるとエスキスの会話も徐々に深みが増してきたようにも思う。特にデザイン論で講義しているものの見方や概念が応用されるのを聞くと少し嬉しくなる。
夜のアサマで帰宅。車中読みかけ渡辺靖『アメリカン・デモクラシーの逆説』を読む。著者はアメリカの陽気で公平で自立的な側面を好ましく思う一方でそうしたアメリカがいつでも山積みの問題を抱え右往左往する姿にジレンマを見る。オバマがあれだけ多くの支持を得て大統領になりながらその政治信頼度は戦後最低になってしまうのはどうしてなのだろうか?もちろん実態として数字の上でアメリカが豊かになれていないという事実はある。しかしではブッシュのようなアメリカに戻る方が正しいことなのだろうか?常にカウンターパートが様々な形で登場して強い方向性を打ち消していくのが最近のアメリカなのだろうか?まあそれを言えば日本も同じようなものなのだが。多様性を包容するということはとても難しいことだろうがそれを諦めてはいけない。